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「 う ゐ 」
高 橋 淑 子 歌 集
たをやかなる韻律 現代の有心
「うゐ」は、語彙の多彩さ、対象や感情を微妙に繊細に、時に大胆に核心を捉える―連接する言葉の数珠に依る表象の巧みさ、そしてそれらが定型の音数律に乗る時の律動と韻き、つまりは達者で達意の表現の歌の類聚、歌林そのものである。―――― 今西幹一(解説より)
ながらみ書房 定価 2500円
2005年4月2日発行
作品の紹介
水滴を垂らせば硯は石中の眠りを覚まし春夜なりけり
往き往きてなほ人恋ふるたましひはうゐの深山の花となるべし
ぬばたまの真錦のごとき夜夜重ね温めをりぬ一本の瀑布
夏遠く病める少女は細き手で土中に埋めしみづからの種
虚ろかもしれぬ長き日記を綴る夜の部屋に木犀の香のしのびこむ
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